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頼れる親族がいない方の「身元保証人」問題 入院・施設入居をスムーズにするための備えとは

更新日:2026.01.31 コラム

生涯未婚率の上昇や家族関係の希薄化により、おひとり様や単身高齢者は年々増えています。一人暮らし自体は珍しくなくなりましたが、病気や高齢で支援が必要になったとき、「身元保証人がいない」という問題に直面する方が増えています。

「入院したいのに保証人がいないと言われた」「介護施設の入居を断られた」――こうした相談は決して特別なものではありません。この記事では、身元保証人が求められる理由と、いない場合に起こりやすい問題、親族以外に頼る方法、そして事前にできる備えについて解説します。

身元保証人とは何を求められるのか

そもそも、身元保証人とは何をする人なのでしょうか。場面ごとに見ていきましょう。

入院時

病院で入院手続きをする際、多くの医療機関では身元保証人を求められます。これは、以下のような役割を期待されているためです。

  • 緊急連絡先:本人に何かあった場合、すぐに連絡が取れる相手として。
  • 医療同意:本人の意識がない場合や判断能力が低下している場合に、治療方針や手術の同意を求められることがあります。
  • 費用の支払い:入院費用や治療費の支払いについて、万が一本人が支払えない場合の対応。

注意したいのは、医療機関が求める身元保証人は、必ずしも法律上の連帯保証人ではない点です。ただし、病院ごとに求められる役割は異なります。

施設入居時

介護施設や高齢者向け住宅に入居する際にも、身元保証人を求められることが一般的です。施設が身元保証人を求める理由は、主に次のような点です。

  • 入居契約の確認:本人だけでなく、家族や関係者も入居を理解・承諾していることの確認。
  • 緊急時の連絡先:体調が急変した場合や、事故があった場合の連絡先。
  • 退去・死亡時の手続き対応:退去の際の荷物整理や原状回復、亡くなった場合の遺体引き取りや遺品整理など。
  • 費用の支払い:入居費用や介護サービス費用が滞った場合の対応。

施設側は「万が一のときに相談できる人がいるか」を重視しており、身元保証人の有無が入居判断に影響することがあります。

身元保証人がいないと起きること

では、身元保証人がいない場合、実際にどのような問題が起きるのでしょうか。

入院・入居を断られるケース

残念ながら、「身元保証人がいない」という理由だけで、入院や施設入居を断られるケースがあります。特に、緊急性が低い場合(予定入院、待機的な入居など)には、こうした対応を取られることがあります。

法律上、身元保証人がいないことを理由に医療を拒否することは問題とされていますが、現実には「他の病院を当たってください」と言われることもゼロではありません。施設入居についても、「保証人がいない方は受け入れ困難」と明示しているところもあります。

「自分のお金で支払うのに、なぜ保証人が必要なのか」と思うかもしれませんが、医療機関や施設側にとっては、リスク管理の一環として重視されているのが現状です。

手続きが進まないリスク

身元保証人がいないことで、様々な手続きが滞るリスクもあります。

例えば、認知症が進行して判断能力が低下した場合、医療行為への同意や、施設での契約変更などに対応できる人がいないと、必要な処置や手続きが進まなくなることがあります。また、重要な書類への署名や、財産管理が必要な場面でも、本人だけでは対応が難しい状況が生まれます。

結果として、適切な医療や介護サービスを受けられなくなったり、本人にとって不利益な状況に陥ったりする可能性があります。

親族以外が身元保証人になる方法

「頼れる親族がいない」からといって、諦める必要はありません。近年では、親族以外が身元保証人の役割を担うサービスが増えています。

民間保証サービス

身元保証を専門に行う民間事業者が、全国各地に存在します。これらのサービスは、おひとり様や身寄りのない高齢者をサポートするために作られたもので、以下のような内容を提供しています。

  • 入院時の身元保証・緊急連絡先の提供
  • 施設入居時の身元保証
  • 入院中の必要物品の手配や見守り
  • 緊急時の駆けつけサービス

費用は事業者によって異なりますが、一般的には、初期費用(契約時)として数十万円、年間利用料として数万円〜十数万円程度が相場です。また、実際にサービスを利用した際には、別途実費が発生することもあります。

注意点としては、事業者によってサービス内容や信頼性に差があるため、契約前にしっかりと確認することが大切です。実績のある事業者か、契約内容は明確か、解約条件はどうなっているかなど、慎重に見極めましょう。

終活支援サービス

身元保証だけでなく、生前の財産管理から死後の手続きまでトータルでサポートする「終活支援サービス」も増えています。

これらのサービスでは、以下のような契約を組み合わせて利用することが一般的です。

  • 任意後見契約:将来、認知症などで判断能力が低下したときに、財産管理や契約行為を代わりに行ってもらう契約。
  • 死後事務委任契約:亡くなった後の葬儀、納骨、遺品整理、各種手続きなどを任せる契約。
  • 身元保証:入院や施設入居時の保証人としての役割。

これらを一体的に提供するサービスを利用することで、生前から死後まで、一貫したサポートを受けられます。自分の意思を反映しやすく、「こういう葬儀にしたい」「財産はこう処分したい」といった希望を事前に伝えておける点もメリットです。

弁護士、司法書士、行政書士などの専門家や、NPO法人、一般社団法人などが提供していることが多く、費用は契約内容によって数十万円から数百万円と幅があります。

事前準備としてできること

身元保証サービスを利用するにしても、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。

契約内容の確認

サービスを選ぶ際には、以下の点を必ず確認しましょう。

  • 保証範囲:入院だけが対象なのか、施設入居も含まれるのか。緊急時の駆けつけはあるのか。
  • 費用体系:初期費用、年間利用料、実費負担の範囲など。追加料金が発生する場面を確認。
  • 解約条件:途中で解約したい場合、返金はあるのか。
  • 緊急時の対応内容:24時間対応か、どの範囲まで対応してくれるのか。

契約書を読むだけでは分かりにくい部分もあるため、遠慮せずに質問し、納得してから契約することが大切です。

医療・介護に関する意思表示

万が一のときに備えて、自分の希望を事前に明確にしておくことも重要です。

  • 延命治療の希望:「どこまで治療を望むのか」「延命措置は希望するか」といった医療に関する意思。
  • 介護方針:「自宅で過ごしたい」「施設に入りたい」など、介護が必要になったときの希望。
  • 葬儀や埋葬の希望:どのような形で見送ってほしいか。

これらは、エンディングノートに記録したり、契約する専門家に伝えたりしておきましょう。自分の意思を残しておくことで、いざというときに周囲が迷わず対応できますし、自分の希望通りの対応を受けられる可能性が高まります。

また、「リビング・ウィル」(生前の意思表示書)として、延命治療についての希望を文書化しておく方法もあります。医師や家族に自分の意思を伝える手段として、検討してみてください。

まとめ

身元保証人の問題は、突然表面化することが多いものです。しかし、事前に準備しておけば不安は大きく減らせます。

  • 身元保証人は入院・施設入居で求められる
  • いない場合、受け入れや手続きに支障が出ることがある
  • 親族がいなくても、専門サービスという選択肢がある
  • 契約内容と意思表示の準備が安心につながる

「まだ元気だから」と先延ばしにせず、今のうちに情報を集め、備えを始めることが大切です。不安を感じたら、弁護士や司法書士、地域包括支援センターなど、専門家への相談も検討してみてください。

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