ブログ

親の預金は亡くなった後すぐ引き出せる?口座の凍結について

更新日:2026.02.26 コラム

「親のキャッシュカードと暗証番号を知っているから、万が一のときもすぐにお金を引き出せる」――そう思っている方は意外と多いのではないでしょうか。

しかし実際には、親が亡くなると銀行口座は「凍結」され、家族であっても自由に引き出すことができなくなります。これを知らずにいると、葬儀費用の支払いや、日々の生活費の工面に困ってしまうことがあります。

今回は、親の預金口座が凍結される仕組みと、実際に困ること、そして生前にできる備えについて解説します。

口座凍結とは

口座凍結とは、銀行口座の入出金ができなくなる状態のことです。親が亡くなったことを金融機関が把握すると、その口座は速やかに凍結されます。

よくある誤解として、「市区町村に死亡届を出したら、自動的に全ての銀行口座が凍結される」と思っている方がいますが、実際にはそうではありません。

ただし、家族が窓口で「口座の名義人が亡くなりました」と伝えたり、新聞のお悔やみ欄や葬儀の案内などで銀行が死亡の事実を知ったりした場合、その時点で口座は即座に凍結されます。一度凍結されると、キャッシュカードを使っても引き出せませんし、窓口でも払い戻しに応じてもらえなくなります。

銀行が口座を凍結する理由は、相続人同士のトラブルを防ぐためです。亡くなった方の預金は、相続人全員の共有財産となります。もし一部の相続人が勝手に引き出してしまったら、他の相続人との間で「無断で使われた」と争いになる可能性があります。そうしたトラブルを未然に防ぐため、金融機関は死亡を知った時点で口座を凍結し、正式な相続手続きが完了するまで払い戻しを停止するのです。

口座が凍結されると実際に困ること

口座が凍結されると、具体的にどのような困りごとが起きるのでしょうか。

葬儀費用を預金から支払えない

親が亡くなると、すぐに葬儀の手配が必要になります。葬儀費用は決して安くなく、一般的に100万円から200万円程度かかることも珍しくありません。「親の預金から支払えばいい」と思っていても、口座が凍結されていれば引き出せません。結局、子どもたちが急いで自分の貯金から立て替えることになり、経済的な負担を感じることがあります。

公共料金・家賃・施設費用の引き落としが止まる

親の口座から自動引き落としにしていた公共料金や家賃、介護施設の費用なども、口座凍結により引き落としができなくなります。支払いが滞れば、督促状が届いたり、最悪の場合はサービスが止まったりすることもあります。特に、親が施設に入居していた場合、施設費用の支払いが滞ると、退去を求められる可能性もあるため注意が必要です。

生活費を親の口座に頼っていた場合の困難

親と同居していて、生活費の多くを親の年金や預金でまかなっていた家庭では、口座凍結によって日常生活に大きな支障が出ます。食費や光熱費、医療費など、毎日の生活に必要なお金が引き出せなくなり、急に自分の収入だけでやりくりしなければならなくなります。

例外的に引き出せる「仮払い制度」とは

ただし、全く引き出す方法がないわけではありません。平成31年(2019年)に施行された民法改正により、「預貯金の仮払い制度」が設けられました。

この制度では、相続人の一人が単独で、一定額まで預貯金を引き出すことができます。具体的には、「相続開始時の預貯金額×3分の1×その相続人の法定相続分」までの金額を、遺産分割協議が成立する前でも払い戻してもらえます。ただし、一つの金融機関あたり150万円が上限です。

例えば、母が亡くなり、相続人が子ども3人の場合。母の預金が600万円あったとすると、一人の子が引き出せる金額は「600万円×1/3×1/3=66.6万円」となります。

この制度は、葬儀費用や当面の生活費を確保するための応急措置として設けられたものです。あくまで一時的な対応であり、全額を自由に引き出せるわけではありません。また、金融機関によっては必要書類が多く、手続きに時間がかかることもあります。

トラブルを防ぐために生前にできる備え

口座凍結で困らないためには、親が元気なうちに準備しておくことが大切です。

家族に口座情報を共有しておく

どこの銀行に口座があるのか、どのくらいの残高があるのか、家族が把握していないケースは多いものです。いざというときに慌てないよう、銀行名、支店名、口座番号などの情報を共有しておくとよいでしょう。通帳やキャッシュカードの保管場所も伝えておくと、相続手続きがスムーズに進みます。

生活費口座と貯蓄口座を分けておく

日常的に使う生活費用の口座と、まとまった貯蓄を置いておく口座を分けておくことも有効です。生活費用の口座には必要最小限の金額だけを入れておき、万が一凍結されても影響を最小限に抑えることができます。

一定額を家族名義の口座で管理する方法

葬儀費用や当面の生活費として、あらかじめ一定額を子ども名義の口座に移しておくという方法もあります。ただし、この場合は贈与税の問題が生じる可能性もあるため、事前に税理士などに相談することをおすすめします。また、他の相続人との間で「事前に受け取った」と誤解されないよう、記録を残しておくことも大切です。

元気なうちに話し合っておくこと

最も大切なのは、親が元気なうちに、お金のことをオープンに話し合っておくことです。「お金の話は縁起が悪い」と避けてしまいがちですが、いざというときに困るのは家族です。「もし何かあったときに、葬儀費用や生活費はどうするか」を家族で共有しておくだけで、不安は大きく軽減されます。

まとめ

親の預金口座の凍結は、誰にでも起こりうることです。「キャッシュカードがあれば大丈夫」と思っていても、実際には引き出せなくなります。

知らないまま迎えてしまうと、葬儀費用の支払いや日々の生活費で本当に困ることになります。特に、親と同居していたり、親の預金に頼っていたりする場合は、口座凍結の影響は深刻です。

こうした事態を避けるためには、早めに情報を共有し、準備をしておくことが何よりも重要です。親が元気なうちに、家族で口座のこと、万が一のときのことを話し合っておくことが、最大の安心につながります。

相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。事前のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら↓

メールアイコン お問い合わせ ▶︎