更新日:2026.02.26 コラム
離婚率の上昇、再婚の増加、事実婚を選ぶカップルの増加――現代の家族のあり方は、かつてないほど多様化しています。それ自体は決して悪いことではなく、個人の選択が尊重される時代の流れといえるでしょう。
しかし、相続の場面では「法律上のルール」が厳格に適用されます。どれだけ長く一緒に暮らしていても、どれだけ深い絆があっても、法律上の関係がなければ相続人にはなりません。逆に、何十年も会っていない前妻の子どもであっても、法律上は平等に相続権を持ちます。
こうした法律と感情のギャップが、再婚家庭の相続を複雑にし、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。今回は、家族構成が複雑な場合に起きやすい相続問題と、その対策について解説します。
相続が発生したとき、亡くなった方の配偶者と子どもが相続人になります。ここで重要なのは、前の配偶者との間に生まれた子どもにも、等しく相続権があるという点です。
たとえば、父親が再婚していて、現在の妻との間に子どもが2人、前妻との間に子どもが1人いる場合。父親が亡くなると、相続人は「現在の妻」と「3人の子ども全員」です。前妻の子どもが、父親と何十年も会っていなかったとしても、相続権には変わりありません。
子どもたちの法定相続分は、母親が違っても平等です。現在の妻と一緒に暮らしている子どもたちと、前妻の子どもで、相続分に差はありません。
また、養子縁組をしていない継子(連れ子)には相続権がありません。たとえば、再婚相手の連れ子と一緒に長年暮らしていても、正式に養子縁組をしていなければ、その子は法律上の相続人にはなりません。
内縁関係や事実婚とは、婚姻届は出していないものの、夫婦同然の生活を送っている関係を指します。近年、あえて入籍せずに事実婚を選ぶカップルも増えていますが、相続の場面では、婚姻届を出していない配偶者は、法律上「配偶者」として扱われません。
よくあるのが、前妻の子どもと現在の妻との間での対立です。現在の妻からすれば、「長年一緒に暮らして支えてきたのに、会ったこともない前妻の子に財産を分けなければならないのか」という思いがあります。一方、前妻の子からすれば、「自分も父親の子どもなのだから、当然の権利がある」と主張します。双方の感情が激しくぶつかり、話し合いがまとまらなくなることがあります。
相続手続きのために戸籍を調べたところ、家族も知らなかった子どもの存在が明らかになる、というケースもあります。過去の結婚や、婚外子の存在を家族に伝えていなかった場合に起こります。突然知らない相続人が現れることで、家族は驚き、混乱し、感情的な対立が生まれやすくなります。
再婚家庭の相続では、相続人同士がほとんど面識がないことも珍しくありません。お互いを知らない、信頼関係がない状態で、財産の分け方を話し合わなければならないのです。感情的な対立が生まれやすく、話し合いが平行線をたどることも多くあります。
こうしたトラブルを防ぐために、特に有効なのが「遺言書」です。
再婚家庭では、法定相続分に従って分けると、関係性の薄い相続人同士で話し合わなければならず、感情的な対立が生まれやすくなります。しかし、遺言書があれば、亡くなった方の意思が明確に示されるため、話し合いの余地が少なくなり、トラブルを大幅に減らすことができます。
特に、内縁の配偶者に財産を残したい場合、遺言書がなければ法律上は一切財産を渡すことができません。遺言書で「内縁の妻に自宅を遺贈する」と明記することで、初めて財産を残すことができるのです。
家族構成が複雑であればあるほど、遺言書の価値は高まります。元気なうちに、誰に何を残したいのか、自分の意思をはっきりと示しておくことが、残された家族を守ることにつながります。
再婚家庭の相続は、想像以上に複雑です。法律上のルールと、家族の実感が一致しないことが多く、それがトラブルの原因となります。
感情的なトラブルを防ぎ、残された家族が争わずに済むようにするには、事前対策が不可欠です。特に遺言書を作成しておくことで、誰に何を残したいのかを明確にし、相続人同士の無用な対立を避けることができます。
相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。
事前のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら↓