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生命保険の相続税非課税枠「1人500万円」は誤解?生命保険で相続対策をする前に知っておきたい非課税枠と考え方

更新日:2026.01.29 コラム

生命保険は、相続対策として広く活用されています。
「相続税には非課税枠があるから安心」「1人500万円まで非課税だから、家族それぞれに保険をかけておけば大丈夫」──こうした理解で生命保険に加入している方も多いのではないでしょうか。

確かに、生命保険金には相続税の非課税枠が設けられています。
しかし、「1人500万円ずつ非課税になる」という理解は正確ではありません。この誤解のまま保険を設計すると、想定していたほどの節税効果が得られなかったり、思わぬ課税が生じたりすることがあります。

この記事では、生命保険の相続税非課税枠の正しい仕組みと、実務上とくに重要な「取得割合による按分」について解説します。

生命保険金は相続税の対象になる?

被相続人(亡くなった方)の死亡によって受け取る生命保険金は、法律上は相続財産ではありません。しかし、税法上は「みなし相続財産」として扱われ、原則として相続税の課税対象となります。

これは、被相続人の死亡を原因として財産を取得するという実質を重視して、相続税の対象に含められているためです。

一方で、残された家族の生活保障への配慮から、生命保険金には一定額まで相続税がかからない非課税枠が設けられています。

非課税枠「500万円×法定相続人の数」の正しい意味

生命保険金の非課税枠は、「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。
例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人であれば、非課税枠の総額は1,500万円です。

ここで注意したいのが、「相続人それぞれが500万円ずつ非課税になる」という理解です。
この1,500万円は、相続人が個別に持つ枠ではなく、相続人全体で使う非課税枠という位置づけになります。

非課税枠は「取得割合」で按分される

非課税枠は、あらかじめ相続人ごとに割り当てられているわけではありません。
実務上は、各相続人が実際に受け取った保険金の割合に応じて按分されます。

計算の考え方は次のとおりです。

各相続人の非課税額
= 非課税枠の総額 ×(その相続人が受け取った保険金 ÷ 保険金の総額)

この「取得割合による按分」が、もっとも誤解されやすいポイントです。

具体例で見る「想定外の課税」

具体的な数字で確認してみましょう。

【前提】
・法定相続人:妻、長男、次男の3人
・非課税枠:500万円 × 3人 = 1,500万円
・死亡保険金の総額:3,000万円

【受取割合】
・妻:2,400万円(80%)
・長男:300万円(10%)
・次男:300万円(10%)

この場合、各人の非課税額は次のようになります。

・妻:1,500万円 × 80% = 1,200万円
・長男:1,500万円 × 10% = 150万円
・次男:1,500万円 × 10% = 150万円

結果として、課税対象となる金額は以下のとおりです。

・妻:1,200万円
・長男:150万円
・次男:150万円

受け取った金額が少ない相続人は、非課税枠を十分に使えない点に注意が必要です。

受取人の設定次第で起こる落とし穴

配偶者に集中させた場合

配偶者には大きな税額軽減制度があるため、保険金をすべて配偶者に集中させるケースもあります。ただし、一次相続では税負担が軽くても、二次相続で子どもに大きな負担が生じる可能性があります。

子どもだけを受取人にした場合

一方、配偶者を受取人から外すと、配偶者は非課税枠を一切使えません。また、配偶者の税額軽減を活用できなくなる場合もあります。

このように、受取人の設定を誤ると、非課税枠を十分に活かせない結果になることがあります。

生命保険は「節税」だけのためのものではない

生命保険の役割は、相続税の軽減だけではありません。
相続税は原則として現金で納付する必要があり、不動産の割合が高い家庭では納税資金の確保が大きな課題になります。

生命保険金は、比較的早く現金で受け取れるため、納税資金や当面の生活費として有効です。銀行口座が凍結される中でも、速やかに使える現金を確保できる点は大きなメリットといえるでしょう。

まとめ

生命保険の相続税非課税枠は、「自動的に守ってくれる制度」ではありません。

  • 非課税枠は「500万円 × 法定相続人の数」で計算される全体の枠
  • 各相続人への配分は、取得した保険金の割合で按分される
  • 「1人500万円ずつ非課税」という理解は誤り
  • 受取人の設定によって、非課税効果は大きく変わる

生命保険を使った相続対策では、家族構成や資産状況、一次・二次相続まで見据えた設計が欠かせません。「とりあえず保険に入っておけば安心」と考えず、定期的に内容を見直すことが重要です。

判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談することで、想定外の課税を防ぎ、家族にとって最適な形で備えることができます。

相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。事前のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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