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実家を「共有名義」で相続するのは危険?後悔する前に知っておきたいリスクと、揉めないための分割案

更新日:2026.01.28 コラム

親が亡くなり、実家をどう相続するか――この判断に悩む方は少なくありません。
「兄弟で平等に分けたい」「今すぐ使う予定はないから、とりあえず共有名義にしておこう」。こうした理由から、実家を兄弟姉妹の共有名義にするケースは多く見られます。

一見すると公平で無難な選択に思える共有名義ですが、実務の現場では「最初に共有にしたことを後悔している」という相談が非常に多く寄せられます。いったん共有にすると、売却や処分が自由にできず、時間の経過とともに問題が複雑化していくためです。

この記事では、共有名義の仕組みとリスク、そして将来揉めないための現実的な分割方法について解説します。

共有名義とは?

まず、共有名義の基本的な仕組みを理解しておきましょう。

共有名義の仕組み

共有名義とは、一つの不動産を複数人で所有している状態を指します。例えば、実家を兄弟3人で相続した場合、「長男が3分の1、次男が3分の1、長女が3分の1」というように、それぞれが「持分割合」を持つことになります。

この持分は、不動産の一部を「ここからここまで」と物理的に区切るのではなく、権利として3分の1ずつを持つという考え方です。つまり、各相続人は不動産全体に対して「3分の1の権利」を持っているのです。

法律上の扱い

ここが重要なポイントです。共有名義の不動産は、法律上、非常に制約が多いのです。

まず、不動産全体に関わる重要な行為――売却、解体、大規模なリフォーム、第三者への賃貸など――は、原則として共有者全員の同意が必要です。つまり、3人のうち1人でも反対すれば、何も進められなくなります。

「自分の持分だけなら自由にできるのでは?」と思うかもしれませんが、持分だけを第三者に売却することは理論上可能でも、実際には買い手がつくことはほぼありません。誰が「3分の1だけの権利」を買いたいと思うでしょうか。

つまり、共有名義にした時点で、その不動産は「誰も自由に動かせない状態」になってしまうのです。相続不動産で問題になりやすいのは、まさにこの点です。

共有名義で起きやすいトラブル

では、実際にどのようなトラブルが起きるのでしょうか。実務でよく見られるケースをご紹介します。

売却・解体ができない

最も多いのが、「売りたいのに売れない」というトラブルです

例えば、長男は「実家は古くなったし、売却して現金化したい」と考えています。しかし次男は「思い出のある実家を手放したくない」と反対。長女は「いずれ住むかもしれないから、今は保留にしたい」と言います。

こうなると、3人の意見がまとまらず、実家は誰も住まないまま放置されることになります。固定資産税や管理費用だけがかかり続け、建物は老朽化していきます。

さらに深刻なのは、共有者の一人と連絡が取れなくなるケースです。海外に移住した、音信不通になった、認知症で意思表示ができなくなった――こうした状況では、その人の同意を得ることができず、不動産が完全に動かせなくなります。

意見がまとまらない

相続直後は「とりあえず共有で」と仲良く合意できても、時間の経過とともに各自の状況や考え方が変わることがあります。

「実家に住みたい」と言い出す人が現れたり、「急にお金が必要になったから売却したい」と主張する人が出てきたり。配偶者や子どもの意見が入ってきて、話がさらにこじれることもあります。

当初は「仲が良いから大丈夫」と思っていても、数年後、十数年後に状況が変わることは珍しくありません。

相続が繰り返され権利関係が複雑化

最も厄介なのが、共有者の一人が亡くなった場合です。

例えば、長男・次男・長女の3人で共有していた実家。長男が亡くなると、長男の持分(3分の1)は、長男の相続人(妻と子ども2人)に引き継がれます。すると、共有者は次男、長女、長男の妻、長男の子2人の計5人に増えます。

さらに時間が経ち、次の世代、またその次の世代へと相続が繰り返されると、共有者が10人、20人、場合によっては数十人規模に膨れ上がることもあります。中には顔も名前も知らない遠い親戚が共有者になっていることも。

こうなると、全員の同意を得ることは事実上不可能になり、その不動産は”誰も動かせない不動産”として放置されることになります。

共有名義を避けるための分割方法

では、共有名義を避けるためには、どのような方法があるのでしょうか。実務で推奨される代替案をご紹介します。

代償分割

代償分割とは、相続人の一人が不動産を取得し、他の相続人には代償金(現金)を支払って調整する方法です。

例えば、実家の評価額が3,000万円で、相続人が3人の場合。長男が実家を単独で取得し、次男と長女にそれぞれ1,000万円ずつ支払います。これにより、実家は長男の単独名義となり、将来の管理や処分も長男が自由に決められます。

この方法の利点は、不動産の公平性と管理のしやすさを両立できる点です。ただし、不動産を取得する人に代償金を支払う資力が必要です。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。

例えば、実家を2,800万円で売却し、その金額を3人で等分すれば、各自が約933万円ずつ受け取ることになります。現金で分けるため、最も公平で明確な方法といえます。

この方法は、「誰も実家に住む予定がない」「思い入れより実利を優先したい」という場合に適しています。また、将来的なトラブルを最も確実に防げる方法でもあります。

ただし、実家を手放すことへの感情的な抵抗がある場合や、市場価値が低くて買い手がつかない場合には向いていません。

単独相続+調整

親と同居していた相続人が実家を単独で取得し、他の財産で調整するという方法もあります。

例えば、長男が親と同居して介護をしていた場合、長男が実家を相続し、次男と長女は預貯金や株式などの他の財産を多めに受け取る形で調整します。

この場合、長男の「寄与分(介護や同居による貢献)」を考慮して、分配の割合を調整することもあります。法定相続分通りでなくても、全員が納得すれば問題ありません。

この方法は、実家に住み続ける人がいて、他の財産もある程度ある場合に有効です。

どうしても共有にする場合の注意点

事情により、どうしても共有名義にせざるを得ない場合もあるでしょう。その場合は、後々のトラブルを最小限にするため、以下の点に注意してください。

管理ルールの明確化

固定資産税や修繕費の負担、使用ルール、連絡方法などを明確にし、できるだけ書面に残すことが重要です。

将来を見据えた取り決め

「いつか売却する」「一定期間後に見直す」など、共有状態を解消するための条件や期限を決めておきましょう。
口約束ではなく、合意内容を文書化することで、後から加わる相続人にも意思を引き継げます。

まとめ

実家の共有名義相続は、「とりあえず」で選ぶべきものではありません。

  • 共有名義は自由に売却・処分できない
  • 意見対立や相続の繰り返しで問題が深刻化する
  • 一度共有にすると解消が非常に難しい

代償分割や換価分割など、将来を見据えた方法を検討することが重要です。
相続は感情が絡みやすいからこそ、早めに家族で話し合い、必要であれば専門家を交えて整理することが、将来の安心につながります。

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