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空き家を相続することになった!手続きと対策を解説

更新日:2025.10.24 コラム

「親が住んでいた実家を相続したけれど、誰も住む予定がない」「遠方にある空き家をどうすればいいのかわからない」こうした悩みを抱える方が増えています。高齢化や核家族化により、空き家の相続は多くの方が直面する現実的な問題となっています。

空き家を相続すると、単に建物を受け継ぐだけでなく、様々な責任や手続きが発生します。放置すれば固定資産税の負担が増えたり、近隣トラブルの原因になったりすることもあります。

この記事では、空き家の相続についてわかりやすく解説します。

空き家を相続したときに必要な手続き

相続登記(名義変更)の義務化

まず行うべきなのが相続登記(不動産の名義変更)です。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記に必要な主な書類

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
  • 固定資産評価証明書

手続きは管轄の法務局で行いますが、書類の収集や作成には時間がかかるため、早めに着手することが大切です。

固定資産税の納税義務者になる

空き家を相続すると、その年の1月1日時点の所有者として固定資産税を支払う義務が生じます。誰も住んでいなくても、建物がある限り毎年納税が必要です。

納税のポイント

  • 年間数万円から数十万円の負担(物件により異なる)
  • 相続人が複数いる場合は代表者が納税
  • 支払いを怠ると延滞金が発生

相続税の申告(必要な場合)

相続財産全体の価値が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合は、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告が必要です。

空き家の評価額は、固定資産税評価額や路線価をもとに計算されます。場合によっては数百万円から数千万円の評価となることもあり、相続税の対象になる可能性があります。

空き家を放置した場合のリスク

固定資産税が最大6倍に増える可能性

適切に管理されていない空き家は、自治体から「特定空家」に指定される場合があります。特定空家とは、倒壊の危険がある、衛生上有害、景観を損なうなどの問題がある空き家のことです。

特定空家に指定されると

  • 固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる
  • 固定資産税が最大で6倍に増加
  • 改善命令に従わないと50万円以下の過料

例えば、年間5万円だった固定資産税が30万円になることもあります。

建物の管理責任は所有者にある

空き家の所有者には、建物を適切に管理する責任があります。管理を怠った結果、以下のような問題が発生すると、損害賠償責任を負う可能性があります

起こりうるトラブル

  • 屋根瓦の落下で通行人がケガ
  • 老朽化した外壁の崩落で隣家に被害
  • 雑草の繁茂で近隣住民に迷惑
  • 不審者の侵入や放火のリスク

近隣住民とのトラブルに発展

放置された空き家は、近隣住民にとって大きな不安要素となります。草木が伸び放題になったり、害虫が発生したり、景観を損ねたりすることで、苦情やトラブルに発展するケースが増えています。

一度関係が悪化すると、将来的に売却や活用を考えた際にも支障をきたす可能性があります。

空き家の活用方法

売却する

空き家の相続を済ませた後、多くの方が選択するのが売却です。

売却のメリット

  • まとまった現金が手に入る
  • 固定資産税や管理の負担から解放される
  • 相続人間で現金を分けやすい

売却のポイント

  • 複数の不動産業者に査定を依頼
  • 空き家の状態により解体が必要な場合も
  • 売却時には譲渡所得税が発生する可能性

賃貸に出す

立地条件が良く、建物の状態も比較的良好な場合は、賃貸に出すという選択肢もあります。

賃貸のメリット

  • 毎月の家賃収入が得られる
  • 建物が管理され、劣化を防げる
  • 将来的に売却や自己使用の選択肢も残せる

賃貸の注意点

  • リフォーム費用がかかる場合が多い
  • 入居者の募集や管理の手間
  • 空室リスクや修繕費用の負担

解体して更地にする

建物が老朽化している場合や、土地だけでも売却したい場合は、解体して更地にする方法があります。

解体のメリット

  • 土地として売りやすくなる
  • 管理責任が軽減される
  • 駐車場などに活用できる

解体の注意点

  • 解体費用は100万円以上かかることも
  • 更地にすると固定資産税の特例がなくなり、税額が上がる
  • 建物を解体する前に特例の適用可否を確認する必要がある

知っておきたい特例と減税制度

空き家の3,000万円特別控除

一定の条件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。これを「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

主な適用要件

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋
  • 被相続人が一人暮らしだった
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却
  • 売却価格が1億円以下
  • 耐震リフォームまたは解体後の更地での売却

この特例により、大幅な節税効果が期待できます。

小規模宅地等の特例

相続税の計算において、一定の要件を満たす宅地については評価額を大幅に減額できる制度です。

居住用の場合

  • 330㎡まで80%の評価減
  • 配偶者または同居していた親族が相続する場合など、一定の要件あり

固定資産税・都市計画税の減免制度

自治体によっては、空き家を適切に管理している場合や、地域の活性化に活用する場合に固定資産税の減免を受けられることがあります。お住まいの自治体に確認してみましょう。

まとめ

空き家の相続は、法律、税務、不動産評価など専門的な知識が必要な複雑な問題です。適切な判断をするためには、早めに専門家に相談することが重要です。

空き家問題は放置すればするほど、選択肢が狭まり、費用負担も大きくなります。相続が発生したら、できるだけ早い段階で司法書士、税理士、不動産業者などの専門家に相談し、あなたの状況に最適な解決策を見つけましょう。

相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。事前のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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