更新日:2025.09.17 コラム
「配偶者も子どももいないけれど、可愛がってきた甥や姪に財産を残したい」そんな想いを抱く方は少なくありません。しかし、一般的な相続とは異なる特別なルールがあり、適切な準備をしないと財産を遺すことができません。 この記事では、甥や姪に確実に財産を遺すための方法から税務上の注意点まで、わかりやすく詳しく解説します。大切な想いを実現するために、正しい知識を身につけましょう。
甥や姪が相続人になるケースについて、ご説明します。 法律上は以下のような順番で相続権を定めています。
第1順位:子(直系卑属) 被相続人の子どもが最優先の相続人となります。
第2順位:親(直系尊属) 子どもがいない場合、被相続人の親が相続人となります。
第3順位:兄弟姉妹 子どもも親もいない場合に、兄弟姉妹が相続人となります。
甥や姪は、この第3順位である兄弟姉妹の「代襲相続人」としてのみ相続権を持ちます。
甥や姪が法定相続人として相続権を持つのは、以下の条件をすべて満たす場合です。 必要な条件 • 被相続人に子、親がいない • 被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている • その亡くなった兄弟姉妹の子が存在する つまり、兄弟姉妹の相続であっても、その兄弟姉妹である甥や姪の親が生存している場合は法定相続人としての権利はありません。また、甥や姪の代襲相続は一代限りで、甥や姪の子(被相続人から見た大甥・大姪)には相続権はありません。
法定相続人ではない場合の遺贈扱い
前述の限定的な条件を満たさない限り、甥や姪は法定相続人ではありません。法定相続人でない場合、遺言書による「遺贈」という形でのみ財産を遺すことができます。
遺贈とは、遺言書によって法定相続人以外の人に財産を遺すことです。甥や姪への財産承継の多くは、この遺贈の形となります。
公正証書遺言の作成
最も確実で安全な方法は、公正証書遺言を残すことです。公正証書遺言には以下のメリットがあります
公正証書遺言のメリット
甥や姪への遺贈を明記する際は、以下の内容を具体的に記載します
生前贈与との違いと活用
甥や姪に財産を渡す方法として、生前贈与という方法もあります。
生前贈与のメリット
生前贈与のデメリット
信託や死因贈与など他の手段
より複雑なケースでは、家族信託や死因贈与という手段もあります。
家族信託 :甥や姪を受益者として信託を設定し、財産管理と承継を同時に実現する方法です。
死因贈与 :贈与者の死亡により効力が発生する贈与契約です。遺言書と異なり、受贈者との契約が必要です。
こういったケースにおいて最も重要な注意点は税負担が重くなることです。
甥や姪は法定相続人ではないため、基礎控除の計算に含まれません
具体例 :被相続人に兄弟1人と甥1人がいる場合
甥や姪への遺贈では、相続税の税率についても不利な扱いとなります
2割加算の適用 甥や姪は「一親等の血族及び配偶者以外」に該当するため、相続税額に2割が加算されます。
小規模宅地等の特例の非適用 甥や姪は小規模宅地等の特例の対象者ではないため、不動産の評価減を受けることができません。
節税対策として生前贈与を活用する方法があります。 年110万円の基礎控除を活用し、複数年にわたって段階的に財産を移転する方法です。
また、甥や姪を受取人とする生命保険に加入することで、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)は使えませんが、相続財産には含まれないメリットがあります。
甥や姪への相続を実現するためには、適切な事前準備が不可欠です。多くの場合、甥や姪は法定相続人ではないため、遺言書による明確な意思表示がなければ財産を受け取ることができません。
重要なポイント
甥や姪に確実に財産を遺したいなら、生前の準備が最も重要です。遺言書は最低限必要になりますが、それだけでなく、税務面での配慮や他の相続人(特に兄弟姉妹)との関係にも注意しながら、金銭面・感情面含めた総合的な対策を講じることが大切です。
大切な甥や姪への想いを確実に実現するために、早めの専門家相談をお勧めします。適切な準備により、あなたの想いを安心して実現することができます。 相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。事前のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
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