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遺言書がないとどうなる?相続で起こる問題と解決策

更新日:2025.07.28 ブログ

「遺言書なんてまだ早い」「家族仲が良いから大丈夫」そう思っていませんか?しかし、遺言書がない相続では、財産の多さや家族関係の良し悪しに関係なく、深刻な問題が発生することがあります。実際に、遺言書の不作成が原因で家族が争い、長年築いてきた絆が壊れてしまうケースは珍しくありません。

この記事では、遺言書がないことで起こる具体的な問題と、それを避けるための実践的な解決策をご紹介します。早めの対策により、家族の平和を守り、あなたの想いを確実に実現することができます。

遺言書がない場合の相続の基本ルール

遺言書がない場合、相続は法定相続分に従って行われます。法定相続分とは、民法で定められた相続人の取り分のことです。

主な法定相続分:

  • 配偶者と子:配偶者1/2、子1/2(子が複数いる場合は均等分割)
  • 配偶者と親:配偶者2/3、親1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

しかし、実際の財産分けには遺産分割協議が必要となり、ここで様々な問題が生じます。

遺言書がないことで起こる5つの問題

問題1:遺産分割協議の難航

遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要です。遺言書がないと:

  • 財産をどう分けるかで意見が対立
  • 一人でも反対すると協議が成立しない
  • 協議が長期化し、精神的・経済的負担が増大

特に不動産のような分けにくい財産がある場合、協議はさらに複雑になります。

問題2:家族関係の悪化と感情的対立

相続トラブルは家族関係に深刻なダメージを与えます。

よく起こる対立:

  • 「親の面倒を見てきたのは私」という主張
  • 「長男だから多く相続すべき」という考え
  • 配偶者と血族間の感情的な対立

これまで良好だった家族関係が、相続をきっかけに修復不可能になることもあります。

問題3:手続きの複雑化と長期化

遺言書がないと、相続手続きが大幅に複雑になります。

発生する問題:

  • 遺産分割協議書の作成が必要
  • 金融機関での手続きに時間がかかる
  • 不動産の名義変更が遅れる
  • 各種期限(相続税申告など)に間に合わない可能性

手続きの遅れは、延滞税や加算税の発生リスクも伴います。

問題4:意図しない相続結果

法定相続分では、故人の真の想いが反映されない場合があります。

起こりうる状況:

  • 家業を継ぐ子に事業用財産が渡らない
  • 介護をしてくれた子に多く残したいのに均等分割
  • 疎遠な相続人にも法定相続分が発生

故人の想いと異なる結果となり、残された家族が後悔することもあります。

問題5:相続税対策の機会損失

遺言書がないと、効果的な相続税対策ができません。

失われる機会:

  • 配偶者の税額軽減の最適活用
  • 小規模宅地等の特例の効果的利用
  • 二次相続も考慮した税務戦略

適切な遺言書があれば、合法的に相続税を大幅に軽減できる可能性があります。

よくある相続トラブル事例

事例1:兄弟間の対立激化

母親の相続で、長男は「親の面倒を見てきた」と主張し、次男は「法定相続分通りに」と対立。協議が3年間続き、兄弟の関係は完全に断絶しました。

事例2:家業の承継問題

製造業を営む父親の突然の死去。遺言書の不作成により、事業用財産が複数の相続人に分散し、事業継続が困難となりました。

事例3:再婚家庭での複雑な対立

再婚した父親の相続で、前妻の子と後妻の間で激しい対立が発生。財産分割が決まらず、家庭裁判所での調停となりました。

遺言書を作るメリット

遺言書のメリットは多岐にわたります:

家族の平和を守る

  • 遺産分割協議の必要がなくなる
  • 故人の明確な意思表示により争いを防止
  • 家族関係の維持

手続きの簡素化

  • スムーズな相続手続き
  • 金融機関での手続き時間短縮
  • 各種期限内での確実な手続き完了

想いの実現

  • 特定の人への財産承継
  • 家業の円滑な承継
  • 慈善団体への寄付なども可能

遺言書の種類と特徴

自筆証書遺言

自分で手書きする遺言書。2020年より法務局での保管制度も開始。

メリット: 費用が安い、内容が秘密 デメリット: 形式不備のリスク、紛失の可能性

公正証書遺言

公証人が作成する遺言書。最も確実で安全。

メリット: 形式不備がない、紛失リスクなし デメリット: 費用がかかる、証人が必要

秘密証書遺言

内容を秘密にしつつ、存在を証明する遺言書。

実際にはあまり利用されていません。

まとめ

遺言書がないことで起こる問題は、想像以上に深刻で長期間にわたります。しかし、適切な遺言書の作成により、これらの問題は確実に防ぐことができます。

重要なポイントは:

  • 早期の遺言書作成が家族の平和を守る
  • 専門家のサポートで確実な遺言書を
  • 定期的な見直しで最新の状況に対応
  • 家族との事前相談でより良い内容に

「まだ早い」と思わず、家族の将来の平和のために、今から準備を始めることをお勧めします。

遺言書の作成について不安をお持ちの方は、まず専門家にご相談ください。相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。

事前のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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