更新日:2025.07.25 ブログ
2024年4月から相続登記の義務化が始まり、これまで任意だった不動産の名義変更手続きが法的義務となりました。この制度改正は、全国で深刻化している所有者不明土地問題を解決するために導入されたものです。
「親から相続した不動産をそのままにしている」「手続きが面倒で先延ばしにしている」という方は、今すぐ対応が必要です。義務化により新たなルールと罰則が設けられたため、正しい知識を身につけて適切に対処することが重要になりました。
この記事では、相続登記の義務化について、制度の背景から具体的な手続き方法、よくある疑問まで詳しく解説します。
相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産の名義を、相続人の名義に変更する法務局での手続きです。具体的には、登記簿に記載されている所有者の情報を更新し、相続によって不動産の所有権が移ったことを公的に証明します。
相続登記が必要な理由は複数あります。まず権利関係の明確化として、正式な不動産所有者を明確にすることで、誰がその不動産を所有しているかを法的に証明できます。また取引の安全確保の観点から、不動産の売買や担保設定時の法的根拠となり、安全な取引を実現します。さらにトラブル防止として、将来の相続時により複雑化することを防ぎ、社会的責任として所有者不明土地問題の解決にも貢献します。
2024年4月1日から相続登記の義務化が施行されました。この日以降に発生した相続だけでなく、それ以前の相続についても適用されます(経過措置あり)。
相続登記が必要となるのは、相続によって不動産を取得したすべてのケースです。具体的には、遺言によって不動産を取得した場合や、遺産分割協議によって不動産を取得した場合が含まれます。
申請期限
相続登記の罰則
経過措置
過料を免れる正当な理由として認められる可能性があるのは、相続人が多数で戸籍収集に時間がかかる場合、遺言の有効性が争われている場合、相続人自身が重病等で手続きできない場合、経済的に困窮している場合などです。ただし、これらの事情があっても早めの対応が推奨されます。
放置のリスク
相続登記の放置により深刻な問題が発生します。法的リスクとしては、上記のように10万円以下の過料の対象となり、法的義務違反となります。実務上の問題としては、不動産の売却ができない、金融機関からの融資を受けられない、担保権設定ができないといった制約が生じます。
相続登記をしないと、名義が古いままで正式な所有者が不明な状態が続きます。固定資産税の負担は相続人に継続し、管理責任も曖昧になることで近隣トラブルの原因となる可能性もあります。
相続登記を放置すると、次の相続時により複雑な手続きが必要となります。相続人がさらに増えることで遺産分割協議が困難になり、認知症や行方不明者が出ると手続きが大幅に複雑化してしまいます。
必要書類
相続登記の手続きには多くの書類が必要です。主な書類と入手先は以下の通りです。
必要書類 | 入手先 |
---|---|
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで) | 本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 最後の住所地の市区町村役場 |
相続人全員の現在戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
相続人の住民票 | 各相続人の住所地の市区町村役場 |
印鑑証明書(遺産分割協議の場合) | 各相続人の住所地の市区町村役場 |
固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村役場 |
登記事項証明書 | 法務局またはオンライン申請 |
登記申請の手順
1:相続人の確定 戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定します。
2:遺産分割の決定 遺言書の有無を確認し、ない場合は遺産分割協議を実施します。
3:申請書類の作成 相続登記の手続きに必要な申請書と添付書類を準備します。
4:法務局への提出 管轄の法務局に申請し、審査完了後に登記完了です。
費用の目安
相続登記にかかる費用は、登録免許税として固定資産評価額の0.4%、書類取得費用として数千円程度、司法書士に依頼する場合は報酬として5〜15万円程度が必要です。
Q1: 遺産分割協議がまとまらないときはどうする?
A: 「相続人申告登記」という暫定的な手続きが利用できます。この制度により、とりあえず相続人であることを申告し、義務を履行したとみなされます。
Q2: 相続人が遠方にいる場合の手続きは?
A: 郵送での手続きや司法書士への委任が可能です。相続登記の期限内に確実に完了させるため、早めの準備が重要です。
Q3: 不動産を売る場合も相続登記は必要?
A: はい、売却前に必ず相続登記が必要です。買主への所有権移転のため、まず相続人名義に変更する必要があります。
相続登記の義務化により、不動産を相続した方は3年以内の登記申請が法的義務となりました。違反すると最大10万円の過料が科せられるため、早急な対応が必要です。
相続登記の義務化について不安をお持ちの方、手続きでお困りの方は、まず専門家にご相談ください。相続マルシェでは、税理士・弁護士・司法書士と提携し、お客様の状況に応じた最適なご提案をいたします。
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